アイノオト 6
第六章 「先輩!」 真っ先に充の目に映ったのは、何かにとりつかれたようにピアノを引き続ける貴之だった。 そして音楽室に足を踏み入れるごとに感じる嫌な雰囲気。 手を伸ばせば、貴之に触れる位置まで来たとき、充が見たものは、鍵盤が赤く色を変えたピアノと、爪が剥がれかけて血を滴らせている貴之の指先だった。 動けなかった。 それでも手を動かしてピアノを引き続ける貴之を前に、どうすることも出来ずに、ただ目を奪われた。 (……どうしてこんなことに) 赤い色がやけにリアルで、自分が止めなくてはいけない立場だということを忘れかけてしまう。まるで赤い海を指が泳いでいるかのようにも見えた。 貴之の指の動きがきれいだからこそ、余計に目を奪われる結果になる。 「…せん、ぱい。やっ…やめてくださいっ」 必死で自制心を取り戻して、ピアノを引き続ける貴之を止めようと声を上げる。 でも貴之には充の声もまったく届かない。 本当に別人のように、ただピアノだけを完璧に弾きこなしていた。それはまるで人形のようであって、同時に貴之の父のようでもあったのだ。貴之が最も嫌がっていたものに無意識のうちに引きこまれていた。 いつもは大好きな貴之のピアノが、気持ちの悪いものにさえ感じるのだ。 充は貴之の止まらない指を見ないようにして、後ろからそっと貴之を抱きしめる。 「先輩っ。…そんなの先輩のピアノじゃないですよぉ」 貴之に触れて、充の中で耐えていたものが壊れた。充の目からぼろぼろと、大粒の涙が零れ落ちていた。 何でこんなことになっているんだろう……。 昨日までは普通だったはずだ。 別に問題なんてなくて、このままいつものように弾ければ、優勝は間違いなく貴之のものだった。 それが彼を、彼の指を、こんなにしてしまったのではどうなるかわからない。 充の涙が貴之の指に落ちた。 どうにか止めさせようと充はぎゅっと強く抱きしめる。 本当にどうしていいのかわからないのだ。 「……あ、…相、かわ?」 先ほどの充の流した涙で貴之は正気に戻ったようだ。 彼は自分の手を見て、何でこんなことになっているのだろう、というような、ちょっと驚いた顔をしていた。 「先輩!? …よかった…」 安心して余計に泣き崩れた充を見て、罪悪感が生まれた。 何で彼にこんな心配をかけてしまったのだろうか。 脳裏に夏姫の言葉がよぎる。 いつものことだった。彼のやっかみなんて。 けれど、どうshちえか、自分を否定されたような気がして、ここに来てずっとピアノを弾いていた。 それが、こんな爪が剥がれるまで弾いてて、まったく気づかないなんて自分でも信じられなかった。 「ごめん、な。心配かけて」 泣きじゃくる充の涙を指ですくいあげ、子供をあやすようにむせ返る背中をぽんぽんとたたいてあげた。 このとき初めて、充に対する自分の気持ちを自覚することになった。 ☆ ☆ ☆ 充は指先に触れないように、貴之の手首あたりを触っていた。 「先輩…。明日のコンクール、どうするんですか?」 ウサギのように真っ赤な目で貴之にもたれ掛かりながらそういった。 正直、貴之としても迷っていたところだったのだ。このままこの指で出ても本来の力は発揮できないのは目に見えていた。 「……出ようかと思ってるんだ」 少し間をおいて、そう告げる。 確かに実力を発揮できないかもしれないが、このまま引き下がるのは気に入らない。 夏姫にあんなふうに言われて負けるわけにはいかないのだ。そうなったら夏姫の思う壺だろう。 「……。そうですか。でも今日はもうピアノになんて触らないでください。それから、医務室いきましょうね」 珍しく貴之は素直に頷いた。 「ありがとな」 「いいえ、僕、先輩のこと好きですから。役に立てるだけでうれしいんです」 思わず「好き」という言葉に反応してしまう。 そんな貴之を見て、充はいつものようににこっと笑った。 「−−好きです。……後輩としてじゃなくて・・・、その・・・・・・」 最初の一言は堂々と言っていたものの、恥ずかしくなったのか、だんだんと声が小さくなっていった。 かわいい顔を真っ赤に染めてすでに涙目になっている。 「あ…。そ…っか」 あいまいに貴之は言葉を濁した。 その態度を悪い意味ととったようで、充は落ち込んだ表情を出してうつむいたまま、黙ってしまった。 「…ごめんなさい、変な事言って…。気にしなくていいです」 さすがに男同士なんて受け入れられるとは思ってなかったようで、充は自分の言ったことをすぐに引き下げた。 貴之は別に悪い意味などなかったのだ。 ただ、思ってもいなかったことを言われて、動揺してしまっただけだった。 「−いや。明日、コンクールが終わったら、ちゃんと返事するよ」 にこっと微笑んで、不安がる充の頭をいつもの調子で軽く叩いた。 充はほんの少し安心した顔をして小さく頷いた。 ☆ ☆ ☆ 医務室にはあいにく擁護教員がいないようで、ドアに「外出中」の札が立っていた。 「…どうしよう」 口元に手を寄せて充は考える。 その横で、赤く染まっている手をドアノブに伸ばして開ける貴之。 「先輩?」 「いないほうが悪い。勝手に入っても文句は言われないさ」 どうせろくなことをしていないんだ、と髪の長い擁護教員を思い浮かべて、これくらい許されるだろうと二人は医務室へと入った。 消毒液の臭いが充満しているこの部屋で、充はたどたどしい手つきで、貴之に包帯を巻いていた。 「明日、本当に大丈夫なんですか?」 心配そうに貴之の両手をそっと包んで、自分の胸のほうに持ってきて暖めるような仕草をする。 「…あぁ、大丈夫だ」 自身ありげにそういった貴之を見ると、本当に優勝しそうな気がしてくる。でも、どうしてもこの手で、いつもどおりにピアノを弾くなんて不可能に思えて仕方ない。ライバルとされる夏姫だって、貴之の父に教えてもらってるのだから、並半端の弾き手じゃないことは充にだってわかるのだ。 「そういえば、お前のお兄さんは明日来るのか?」 煉央学園主催のコンクールは、学園内のホールで行っているのだが、もちろん一般の入場も可能なのだ。だから、言ってみれば、煉央学園からのお披露目という感じになるだろう。 充は「お兄さん」という言葉にぴくっと反応して急に静かになる。 「兄は……、これないんです」 「そっか。学校とか部活とかあるしな。聴いてほしかったんだけど」 これから貴之はきっと充と一緒にいることを選ぶと思う。大切な弟をとってしまうかもしれないのだ。ちゃんとした演奏をして、認めてもらいたいという気持ちだった。 「いえ…、違うんですけど…。でもきっと、先輩のピアノ聴いてると思いますよ」 歯切れの悪い充の言葉になぜか違和感を感じる。 「聴いてる…って、来なきゃ聴けないだろ…?」 充は貴之の目をじっと見つめた。そして、ひとつため息をついて、静かに告げた。 「兄は、亡くなりました」 「え?」 触れてはいけない部分に貴之は触れてしまったかもしれないと、後悔した。でもその時にはもう充には、話す覚悟が出来ていた。 「うちの兄、ピアノを弾いてたって言いましたよね? でも先輩にコンクールで負けて…。自信をなくしちゃったみたいなんです。それまでは僕自身も、兄よりうまい人なんていないって思ってましたから……。でも、そういう人って弱いんですよね。彼は自信を失って、みんなにもそういう目で見られるのに耐えられなくて、どんなに練習しても先輩みたいにはなれなくて、結局は……自分を捨てて、ピアノを捨てて。……自殺したんです」 「・・・・・・」 何もいえなかった。 淡々と語る充がとてもつらそうで、どうしようもなかったのだ。慰めることなんて出来ない。話をさせてしまったのはこの自分なんだから。 「あ、でもあんまり気にしないでくださいね。兄だって「今度は先輩を越えてやる」なんていってましたから。だから、お願いです。先輩には優勝してほしいんです。それでうちの兄が羨ましがるくらいに自慢しちゃってくださいね」 笑う充の瞳から、ぽろっと涙がこぼれた。 笑顔で話すけど、どんなにつらかっただろうか。仮にも、自分の大好きだった兄が、自信を喪失し命を絶ってしまったのだ。貴之のことを恨んでいても不思議じゃないことなのに。 それなのにーー。 「それでも、お前は俺のこと、好きなのか?」 「好きです。先輩も。先輩のピアノも」 そうきっぱりと言い切った。 弱そうに見えて、彼はすごく強いのかもしれない。その瞳が「兄のことは関係ない」と、慰めさえしてくれているようだった。 ☆ ☆ ☆ 開演五分前。煉央学園内カレントホールには思った以上に、たくさんの人が溢れかえっていた。会場内の座席は満員御礼といったところだろう。 舞台の袖で、スーツを着込んだ夏姫と貴之、そして充がいた。 夏姫は心なしか震えているように見えた。一人で緊張してどうしようもなくなってしまっている。それに比べて貴之のほうは笑顔で充と仲良く雑談を交わしていた。そんな貴之の姿を見て、夏姫は、余計プレッシャーを感じずにはいられない。 開演の音楽が流れて、司会者が礼儀ただしげにことを進めていく。 そして夏姫が舞台へと出て行った。 「…先輩、次ですね」 今言った夏姫のことはまったく気にせずに、充は不安げにそういった。 貴之の指には真っ白い包帯が巻かれたままだ。昨日の今日で、すぐに治るわけはない。きっと何かを触るのさえも痛くてどうもならないほど、ひどい怪我だったのだ。ただ、昨日、あれから充に言われて、ピアノには触れていないようだった。 「そうだな……。ま、なんとかなるだろ」 「…ですよね」 夏姫のピアノをBGMに、二人はニコニコと笑って、とてもコンクールの出番直前だとは思えないほどリラックスしていた。 「笹本君、出てくれる?」 係員に導かれて、貴之は夏姫のピアノへの拍手の中ステージへと向かった。最後に充の方をもう一度振り返る。 「しっかり聴いてろよ」 笑顔で充は頷いた。 夏姫の演奏はすごくよかったようで、拍手はとても大きかった。その中、貴之は実に堂々とピアノの前で礼をして椅子に座る。すでにその仕草と容姿に目を奪われる人も少なくなかった。 拍手の波が納まり、会場は静まり返り、下手をすれば隣に座っている人の息遣いまでが聞こえてきそうな雰囲気だった。 貴之はみんなの注目が白く巻かれた手にあることは知っていた。でもそれを意図的に無視し、そ知らぬふりで鍵盤に手を乗せた。 深く深呼吸を一度だけして、ステージ袖で見えないように影からこちらを見つめている充を振り返り、自然な笑みを浮かべる。 充は引きつった笑みを浮かべて、充のほうが緊張しているのではないかと疑わずにはいられないほど、ぎこちない動きをしていた。 貴之は笑いそうになるのをぐっとこらえて、ピアノへと向きなおす。客席からは何に彼が微笑んだのかまったくわからないまま、ただ貴之を見つめていた。貴之はもう一度だけゆっくりと息をして、彼の音を奏ではじめた。 技術がなくても弾けるような簡単なメロディーだった。その分聴きやすくて、けれど弾きづらい一曲を選んだ。 彼のピアノは生きていた。 メロディー自体が貴之から生を受け、好きなように踊っているかのようだ。それでいて、優しくて柔らかくて、人の疲れた心を癒す。 忘れかけた大切な感情を蘇らせてくれる。 会場の人がみな、しがらみや拘りを忘れて、貴之の音だけに集中していた。 いつも聞きなれていた充でさえも両目からぽろぽろと涙の粒をこぼしていた。 そして、彼のピアノを非難した夏姫や貴志さえもーー。 ぴたっ…と最後の音が途絶えたとき、会場は静寂の海へと帰った。 貴之がパタンと楽譜を閉じる音で、会場の人たちは我に返り、孝之へと盛大な拍手を送った。 今まで練習で弾いてきたものより何倍も完成度が高い。両手を怪我して弾いたものには思えないほどだ。それほどに彼の感情が強くこの曲と同調していた。 貴之は先ほどと同じく礼を交わし、ステージ袖へと戻っていった。 指先がほんの少しだけ赤く染まりかけていたのは充以外は知らぬこととなった。 袖のすぐ入り口付近で充は貴之を待っていた。貴之が客席から見えない位置にいくなり、思いっきり抱きついた。笑ってはいたが、充はきっと不安で仕方なかったんだろう。微かに手が震えていた。 「…お疲れ様です」 「ちゃんと、聴いてたか?」 「は・・いっ…」 自分の胸の中で声を殺して泣く充をやさしく、そして愛しげに撫でた。 ☆ ☆ ☆ 『優勝は、連王学園高等部三年C組の笹本貴之君に決定しました』 司会者がそう告げて、会場全体が納得の優勝になった。鳴り止まない拍手の中、ステージに立たされている貴之は、いつも絶対に見ることのないほど、すっきりした表情でいた。 『すごく感情的な曲で、会場全てを包み込んでいましたけど、あの曲にはどんな思いがあったんですか?』 学生即席インタビュアーが貴之にマイクを向ける。 「大切な、大好きな人を…ね、思って弾きました」 平然とそういった貴之に、客も、城太郎も、余すさえ充までもが驚きを隠せずにいた。 充はそれが貴之にとっての答えのようで、思わず席を立って会場から抜け出した。 『タイトルってあるんですか?』 「ありますよ。けどそいつにしか教えないつもりなんで」 そう楽しそうに言う貴之の声を充は背中のほうで聞いた気がした。でも充にとってはそんなことはどうでもよかった。 とにかく悲しくて、どうしようもなくて、醜態をさらす前に貴之の前から消えたかったのだ。 貴之はそんな充にはまったく気づかずにインタビューを終えて、充を探しにいこうとしていた。 「―先輩……」 後ろのほうから声を掛けられ、仕方なしに振り向くと、夏姫と貴之の両親が立っていた。 「あぁ……」 「僕の負けです。偉いこといっても結局勝てないんですね、やっぱりあなたには…。優勝おめでとうございます」 プライドが人一倍高い夏姫がこんなことを言うなんて正直驚いた。一応和解の握手を交わすが、貴之は充を探すのにきょろきょろしてしまう。 「おめでとう。…これからは好きなように弾きなさい。私は少し間違っていたみたいだな」 貴志があせっている息子にかまわず感動の抱擁をした。いつもと様子の違う貴之に気づいたのは、唯一彼の母親だけだった。 「貴之ちゃん…、何か探しものでもあるの?」 落ち着かない様子の貴之に声を掛けた。 「あぁ? うん…ちょっと…。急ぐから後で!」 そういうと貴志の腕からするりと抜けて、充を探しにいった。 ところがどこを探して見つからない。 なぜ隠れる必要があるのかさえも貴之にはわからないのだ。場内全て回っても充がいなかったので、貴之は外へ出てみることにした。 すると、カレントホールの入り口のすぐ横で、小さくうずくまって座っている充を見つけた。 「おい。なにやってんだよ。探したじゃないか…」 恥ずかしいので息は整えていつもどおりに振舞った。充がその声を聞いて、びくっと震えたのを見逃さない。 「おいっ…」 (俺が何したってゆーんだよ…) ちょっと痺れを切らしかけてる貴之をわかったのか、充はゆっくりと振り向いた。その目は真っ赤に腫れていた。 明らかに落胆した表情さえも浮かべていたのだ。 「どーした…」 「先輩は、…好きな人のところに行けばいーじゃないですか。僕なんかのところに来ないでくださいよ」 なぜ急にそんなことを言い出すのだろうと、貴之は不思議で仕方ない。 「好きな人のために、あの曲、弾いたんでしょ?」 (あぁ……) やっと充が怒っているわけがわかった。 インタビューを勘違いしているのだろう。 (だから今好きなやつのところに来てるのに…。わかってないか、やっぱり) 「そうだ。相川のためにな」 はっきりとそう伝えた。つい最近になってやっとわかった感情だった。自分には充が必要だとー。彼がいなかったら今日優勝なんて無理だったと思う。 「え?…ぼ、く…?」 充は丸い目をさらに丸くして、信じられないといったような顔をした。 つい貴之は笑ってしまった。 こんなにおもしろくて、かわいくて、安心できるやつは充しかいない、と。彼は結局は自分を変えてくれたのだ。 「相川…。俺もお前のことが好きだよ」 「―-…うそ…」 「嘘がいいのか?」 充がもう勘違いしないようにと、まっすぐに見つめる貴之の顔は、真剣そのものだった。 そんな貴之を見て、それがうそじゃないと充は悟った。 貴之は充の小さい体をめいっぱい抱きしめた。やっと出会えた彼を逃さないようにーー。 「先輩…、ずっと好きでいてもいいですか?そばに、いてもいいんですか…?」 貴之の胸の中で、うれし泣きをしながら充が呟く。 「当たり前だ。そうでなくちゃ困る。……離さないからな」 ちょっとだけ照れながら貴之は充を抱きしめる腕の力を強めた。 「うん・・・」 充も貴之の背中へと腕をまわしてぎゅっと今までの思いを伝えるかのごとく、強く抱きしめあった。 ☆ ☆ ☆ 第五音楽室ではいつもきれいな音が流れていた。 それはもちろん貴之のピアノ。 昼休みはもっぱらここで貴之と充、城太郎と真澄の四人で昼食をとるようになっていた。 今日もそうで、早く食べ終わってしまった充は、人差し指で適当に鍵盤を押して遊んでいた。 「それにしてもよかったな。充。先輩と両想いで」 真澄は弟の作ってくれたチャーハンを口に放り込みながらからかう。 「うん」 充は素直に頷くけれど、貴之はあせりのあまりご飯を詰まらせてごほごほとむせ返っていた。 「こらこら、からかうんじゃねーよ」 城太郎は一応真澄を止めるけど、実は結構楽しそうだったりする。 「そうだ、先輩、あの曲のタイトルってなんだったの?」 「あぁ、…ちょっと来い」 人には聞かれたくなかったので、貴之は充を自分のほうへと呼んで、耳元に口を寄せた。その仕草に不謹慎ながらもドキッとしてしまったりして。 「<アイノオト>だよ」 そう囁いた貴之は本当に幸せそうな顔をしていた。 返事の代わりに充は貴之の方に頭をもたれて、「えへへ」と照れ笑いする。 「なんかラブラブ…」 「こら、真澄。子供は見ないほうがいいぞ」 城太郎が真澄の目を片手で隠してそっぽを向いたその隙に、貴之と充は軽く唇を重ねた。 凍てついた彼の心を溶かしたのはたった一人の人だった。 そして凍っていた音楽はその人のおかげで解けはじめた。 冷たく突き刺さるようなその音の氷が解けたとき、それは彼の愛する人への『アイノオト』へとかわっていった。 二人の始まりの音にーー FIN |